基本的な考え方
当社では、人材育成方針を「人材マネジメント戦略を実現する教育の機会、仕組みを提供し続ける」とし、人材育成のサイクル(目標設定・役割付与 → 能力・成果発揮 → 評価・フィードバック)を継続して回し、その支援としてOJT、OFF-JT(各種研修)、育成ローテーション(職場異動)を実施しています。階層ごとに求める人材像を定義し、その能力を習得するための教育施策を毎年強化しています。2023年度は「全員活躍」をキーワードに、実務職対象の階層別研修、国内グループ会社対象の問題解決研修を新たに実施した他、本部単位でキャリアパスを作成し、計画的なOJTの礎となる取り組みを行いました。
人材育成のサイクル
教育体系図(単体)
教育体系に基づく教育投資額(単体)※事技系職場での個別教育を除く
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
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教育投資額(百万円) | 138 | 136 | 148 | 231 |
グローバル目線を持った人材育成の促進
フタバグループでは、日本本社の本部長以上のメンバーで構成される人材戦略会議を運営し、国内外のグループ全体の経営に適した組織のあり方、重要ポスト選定、各ポストのサクセッションプラン検討を定期的に議論しています。あわせて、将来の経営候補者の選出や、タフアサインメント、ローテーション等の育成計画を討議することで、効果的な人材配置、スピード感をもった本人の成長促進につなげています。海外グループ会社については地域ごとに経営幹部をメンバーとしたRSC(Regional Succession Committee)、LSC(Local Succession Committee)を開催し、各社のサクセッションプランを企画・実行し、現地人材の計画的な育成に努めています。RSC・LSCの内容は人材戦略会議とも共有し、グループ全体で見た現地人材の計画的な登用を進めています。
ローテーション活性化による人材育成、適材適所配置の促進
先行開発等、会社として重点を置くべき分野へのリソーセスシフトを促進しています。また、会社としての強化部門、変革へのチャレンジが求められる部門については社内公募を行い、専門外の部署からの異動機会の提供、社員本人のチャレンジの場、自発的な成長の場となるよう制度の整備・運用を進めています。
グローバル人材の育成強化
フタバグループでは、日本に加え世界8ヵ国に15社のグループ会社を有し、 1万人を超える多様な人材が働いています。こうしたビジネス環境において、日本国内従業員の英語力向上、グローバル人材の育成に向けた施策を実施しています。
英語学習機会の提供
自己啓発コンテンツの提供や、勤務時間内に短期集中で英語を学ぶ研修、若手社員を対象に実際の海外勤務を想定したロールプレイ型(ローカルスタッフとのオンライン会議等)の研修等を実施し、グローバル人材の育成に取り組んでいます。
海外研修生制度
グローバルリーダー育成に向けて、若手社員を海外グループ会社へ派遣し、グローバルで活躍する機会を提供しています。2023年度は、成長を早期からサポートするため、派遣要件を入社5年目以降から3年目以降とする等制度を拡充しました。また、2023年度から、中国の天津からローカルスタッフを日本へ研修派遣し、日本で業務を学んでいただき、学んだことを海外でも活かし、活躍する機会を提供しています。
今後も海外グループ会社のローカルスタッフの日本への研修派遣も積極的に推進していきます。
デジタル人材の育成
当社では、TQMとデジタル活用を組み合わせ、スピード感をもって「全員がデジタルデータを駆使し仕事のやり方を変える、業務プロセスをスルーで変える」ことができる会社を目指して育成を推進しています。部門横断課題の企画推進やデジタル技術を実際に活用できるように伴走型のテーマ実践教育を実施しています。2025年度に570名のデジタル人材を輩出することを目標に掲げて活動しています。2023年度末で約320名の育成に到達するなど、着実に活動を進め計画通りデジタル人材の育成が進んでいます。
デジタル人材教育体系
取り組み内容
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- 生成AIを活用できる環境構築と支援
- 自部署課題をテーマとしたユーザーアプリ開発の実践型学習
- プロセス変革を目指した企画教育とデジタル化企画の立案/推進
- 部門横断テーマの活動体制化と推進による変革人材の育成
- データ分析ツールを使ったデータサイエンティストの実践型教育
- システム導入を通じた工場ネットワーク管理者の実践型育成
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ユーザーアプリ開発
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工場ネットワーク管理
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ものづくり人材の育成
安全と品質を最優先に掲げ、たゆまぬ改善と標準化の努力を続けるとともに、最新の生産技術を積極的に導入することで、作業者一人当たりの担当領域を拡大(多能工化)し、少子高齢化への対策と生産性向上の両立を図ります。また、「個と組織の強化※1」を目指し、現地現物での実践的な教育を強化し続けます。
※1 個と組織の強化
「個」:作業者一人ひとりのスキルマップを作成し、上司と部下の面談・確認を通じて計画的なスキルアップを推進します。
「組織」:安全、品質、原価、生産性、人材育成という五大任務を遂行できる班長、組長、係長、課長、部長、工場長といったリーダーの育成を通じ、組織全体の力を高めます。
わかりやすい動画による教育
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2024年4月から国内グループ会社の全社員を対象に新たな学ぶ機会として「動画」による教育の仕組みを導入しました。安全・品質・交通安全等についての分かりやすい動画研修素材を使用し、職場内での対話を通じて意識・知識を向上させることにより、行動を変え実践できる人づくりを進めています。
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動画教育
フタバ技能大会の開催
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技能職人材育成を目的とした「フタバ技能大会」は2023年に10回目を迎えました。今回は、溶接・検査・板金・電気の4種目に加えて、リフト作業をエキシビジョン※2として行い合計50名の選手が参加しました。当日は、選手上司や同僚も駆けつけ総勢200名が参加して互いの技能を研鑽しました。
※2 エキシビション...公開競技
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フタバ技能大会(リフト作業)
マネジメント人材の育成
人的資本向上には各職場でのマネジメントの強化が最優先と考えています。管理職を対象とした階層別研修では、一人ひとりが業務のPDCAサイクルを回し、効果的、効率的に成果を出すためのマネジメント方法、実用的な仕事の"形"ツール(例:報・連・相の形、再発防止の形、等)の活用方法を学びます。この手法は「フタバ流仕事の進め方」として事務・技術系職場で実践しています。
加えて、マネージャーの役割に基づき、ミッション、ビジョンの明示から職場風土の醸成まで体系立てて要点を学んでいます。