基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの目的を「健全で強い企業を作るために、企業内外の多様なステークホルダーの視点から経営者を規律づけること」と捉えています。法令や社会的規範を遵守した事業活動の遂行と経営の透明性の向上を確保するため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する組織体制の構築・改善が重要であると認識しており、①経営のスピード化・戦略性の向上 ②企業行動の透明性の確保 ③ディスクロージャーとアカウンタビリティの充実を重点に、引き続き体制の整備・充実に努めていきます。
コーポレート・ガバナンス報告書
コーポレート・ガバナンス強化への取り組み
コーポレート・ガバナンスは、当社の持続的な成長を支える基盤であり、社会要請や動向等を踏まえ、常に進化していくことが必要と考えています。当社では、コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組みを継続的に行っています。
当社は取締役会に求められる『執行役員・取締役に対する実効性の高い監督』を充実させるために、社外役員の構成比率を高めてきました。また、2021年度は第三者機関による実効性評価を行い、取締役会の問題・課題を明確化し、その対策に取り組みました。今後、第三者機関による実効性評価は定期的に実施していきます。
コーポレート・ガバナンス推進体制
①取締役会
2022年度開催回数:12回
原則月1回開催しており、取締役7名(うち社外取締役4名)で構成しています。また、社外取締役のうち1名が女性取締役です。取締役会では、法定事項および重要事項を付議し、経営戦略の決定、業務執行の監督を行っています。上記構成員に加え、監査役4名(うち社外監査役2名)が出席しています。取締役会は法令・定款に基づく議題の決議と、「中長期・グローバル視点での会社の方向性に関わる重要課題」の協議を行います。
2022年度の取締役会の主な議題
経営全般 |
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その他 |
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②監査役会
2022年度開催回数:15回
原則月1回開催しており、株主総会で選任された監査役4名(常勤2名、社外2名)で構成しています。社外監査役には公認会計士、他社の取締役等経験者を配し、監査の領域ごとに各監査役の専門知識も駆使し、当社および国内外のグループ会社を対象に、会社法で定められた業務監査・会計監査を行っています。
監査体制
当社では、監査役による監査役監査、社長直轄の組織による内部監査、監査法人による会計監査の三つの監査を実施しています。効率的で実効性のある監査を実現するため、監査役、グローバル監査室および会計監査人は、月次で開催している三様監査協議会等を通じて、監査計画および結果の共有、各監査で認識されたリスク情報の交換を行っています。また、監査役とグローバル監査室との連携については月次で常勤監査役と定例会議を行って情報を共有しており、常勤監査役を通じて監査役会とも情報を共有しています。
監査役監査
監査役は、会社方針や重点取組事項も踏まえて監査役会で決議した監査方針に基づき、内部統制システムの整備と運用の状況や、会計監査人の監査の方法および結果の相当性、取締役等の職務の執行状況につき、監査しています。
具体的には、取締役会、内部統制委員会その他重要な会犠へ出席し、取締役等からその職務の執行状況について報告を受けるほか、内部監査部門からの報告内容の確認および国内外拠点長へのヒアリング等を行っています。
内部監査
グローバル監査室を設置し、社外取締役を含めた経営者に対し、内部監査結果の要点、課題の緊急性、改善案等を報告することで、監査対象の状況について合理的な保証を与え、かつ、内部統制強化・充実のための助言・提案を行っています。
また、内部統制委員会でも結果を共有し、グループ各社および各部の好事例や課題を共有することで、各部が気づきを得る機会を提供しています。
会計監査
2019年度よりPwC Japan有限責任監査法人に監査を依頼しています。
③指名委員会
2022年度開催回数:10回
当委員会は5名の委員(社外取締役3名、社内取締役2名)で構成されており、委員長は社外取締役から選出し、堀江正樹氏が務めています。取締役会の諮問機関として客観的かつ公正な視点から、取締役・執行役員等の選任および解任に関する事項を審議し、その結果を取締役会に答申しています。
2022年度の指名委員会の主な議題
- 取締役候補者の選定
- 代表取締役の選任
- 執行役員および上級幹部職の選任、解任
- 執行役員および上級幹部職の職務分担
- 社長を含む上記役員のサクセッションプランの検討
④報酬委員会
2022年度開催回数:6回
当委員会は4名の委員(社外取締役3名、社内取締役1名)で構成されています。委員長は社外取締役から選出し、市川昌好氏が務めています。取締役会の諮問機関として客観的かつ公正な視点から、取締役・執行役員等の報酬体系・水準、報酬額を審議し、その結果を取締役会に答申しています。
2022年度の報酬委員会の主な議題
- 取締役、執行役員および上級幹部職の月額報酬
- 取締役、執行役員および上級幹部職の賞与額
- 取締役、執行役員および上級幹部職の譲渡制限付株式報酬
- 取締役、執行役員および上級幹部職の今後の報酬体系
⑤領域役員会議
開催頻度:原則月1回
社長、領域役員で構成され、業務執行に関する意思決定の中で特に機密性の高い案件を審議、決議しています。
⑥本部長会議
開催頻度:原則月2回
社長、本部長および常勤監査役で構成され、取締役会上程事項とその他重要事項や個別案件を協議しています。
内部統制に対する考え方
当社は、「Purpose」「Mission」「Values」、「FUTABA WAY」、「企業行動憲章」、「フタバ行動指針」に基づき、グループ全体で適正に業務を遂行します。また、以下の項目を中心とした取り組みにより、TQM活動を通じた維持と改善を繰り返し、業務品質の向上ひいては会社の経営品質の向上に努めます。更にSDGsのゴールを見据え、持続可能な企業価値向上を目指します。
- a.『リスク対応の為の実務、指導・牽制、監査の役割分担(3つのライン)』等の考え方を織り込んだ業務の仕組みの構築
- b.グループ内での業務に関する役割責任の明確化と、子会社の自律化の実現
- c.TQM活動や業務標準についての教育制度の充実と、それによる全体のレベルの底上げ
これらを通じて高い倫理観を持った人材を増やし、実効性のある組織を構築することでフタバの目指す内部統制を実現します。
内部統制システム
会社法等の定めにしたがって業務を適正に遂行するための姿勢を取締役・執行責任者とも共有します。また、規程に定めた付議事項について取締役会等で十分議論を行ったうえで適正な意思決定を行い、業務を遂行します。
実際の業務遂行では、取締役会から諮問を受けた内部統制委員会が社内の内部統制活動を推進しています。また、内部統制委員会の下部組織として内部統制実務者会議を設置し、実務面の推進を行っています。内部統制委員会では、「FUTABA 業務品質管理標準」を業務標準・良品条件とし、本社部門がグローバル全体の推進役として、業務品質改善活動を進めています。業務品質改善活動を通じて、会社の経営品質を向上させ、その成果としてグローバル全体での内部統制を担保するように活動しています。
内部統制委員会の活動状況は、定期的に取締役会に答申しており、グローバル全体での業務品質改善活動の進捗状況や、拠点・地域毎の課題等について取締役会メンバーと共有・指導のもと、活動の方向性等について決定しています。
取締役・監査役の選解任基準
取締役の選解任・指名を行うに当たっては、取締役会としての機能確保と的確かつ迅速な意思決定ができるよう、能力・経験・専門性のバランス、多様性、適材適所の観点を重視しています。2018年12月に取締役会の諮問機関として、独立社外取締役を主要な構成員とする任意の「指名委員会」を設置しました。取締役会は、取締役の選任・指名を行う際には、個々の選解任・指名の理由も併せて「指名委員会」からの答申を受け、決定しており、2019年の株主総会から、取締役の選解任・指名案に反映しています。
監査役の選解任に当たっては、事業経営、財務・会計に関する知見を有し、適切な経営の監査に資する人材を選任しています。取締役会は、当該監査役会の決議をもって監査役会の同意を得たものとし候補者を決定、株主総会に監査役選任議案を提出しています。
取締役・監査役スキルマトリックス
当社の取締役・監査役が有している能力・経験は以下のとおりです。
企業 経営 |
技術・ 開発 |
生産技術・ 製造・品質 |
営業・ 調達 |
財務 会計 |
法務・ ガバナンス |
人事 | IT・ DX |
環境 | 海外 事業 |
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代表取締役 社長執行役員 |
魚住 吉博 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
代表取締役 執行役員 |
大橋 二三夫 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
取締役 執行役員 | 横田 利夫 | ○ | ○ | ○ | |||||||
社外取締役 | 堀江 正樹 | ○ | ○ | ○ | |||||||
社外取締役 | 市川 昌好 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
社外取締役 | 宮島 元子 | ○ | ○ | ||||||||
社外取締役 | 宮部 義久 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
常勤監査役 | 加藤 和典 | ○ | ○ | ○ | |||||||
常勤監査役 | 鳥山 圭一 | ○ | ○ | ○ | |||||||
社外監査役 | 鈴木 人史 | ○ | ○ | ||||||||
社外監査役 | 林 繁雄 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
独立役員選任基準
当社では、独立役員の候補者選定に当たり、会社法が定める社外性基準および金融商品取引所が定める独立性基準に従い、独立役員を選任しています。また、経営に対し率直で建設的な助言、監督ができる高い専門性と豊富な経験を重視し選任を行っています。
社外役員の選任理由
当社では、専門分野はもとより、外部からの視点により取締役会の意思決定に適正性を確保するための助言、提言をいただくために、社外取締役4名、社外監査役2名を選任しています。
社外役員と主な選任の理由
氏名 | 地位 | 独立役員 | 主な選任の理由 | 2022年度における出席状況 | |||
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取締役会 | 指名 委員会 |
報酬 委員会 |
監査役会 | ||||
堀江 正樹 | 社外取締役 | ○ | 公認会計士として長年培われた専門的な知識、経験を有しています。その豊富な経験と高い見識を当社の経営に反映するため、選任しました。 | 12回/12回 (100%) |
10回/10回 (100%) |
6回/6回 (100%) |
― |
市川 昌好 | 社外取締役 | ○ | 豊田合成株式会社における長年の経営者としての経験を有しています。その豊富な経験と高い見識を当社の経営に反映するため、選任しました。 | 12回/12回 (100%) |
10回/10回 (100%) |
6回/6回 (100%) |
― |
宮島 元子 | 社外取締役 | ○ | 弁護士として長年培われた専門的な知識と経験を有しています。その豊富な経験と高い見識を当社の経営に反映するため、選任しました。 | 12回/12回 (100%) |
10回/10回 (100%) |
6回/6回 (100%) |
― |
宮部 義久 | 社外取締役 | トヨタ自動車株式会社において長年培われた生産技術部門に係る専門知識を有しています。その豊富な経験と高い見識を当社の経営に反映するため、選任しました。 | 12回/12回 (100%) |
― | ― | 4回/4回 (100%) |
|
鈴木 人史 | 社外監査役 | ○ | 公認会計士として長年培われた専門的な知識・経験を有しています。その豊富な経験と高い見識を当社の監査に反映するため、選任しました。 | 11回/12回 (91%) |
― | ― | 15回/15回 (100%) |
林 繁雄 | 社外監査役 | ○ | オリンパス株式会社において取締役専務執行役員を務めた経験に加え、同社における生産技術部門を中心とした経験を有しています。その豊富な経験と高い見識を当社の監査に反映するため、選任しました。 | 10回/10回 (100%) |
― | ― | 11回/11回 (100%) |
- ※1.取締役 宮部義久氏は、2021年6月17日開催の第107回定時株主総会で監査役に選任されています。
また、2022年6月22日開催の第108回定時株主総会で社外取締役に選任されています。 - ※2.監査役 林繁雄氏は、2022年6月22日開催の第108回定時株主総会で監査役に選任されています。
社外役員へのサポート
当社では、社外取締役・社外監査役に対し、取締役会上程議案の事前説明を行うとともに、業務執行状況に対する理解を深めてもらうため各部門報告やグループ会社も含めた現場視察をしていただいています。
社外監査役に対しては、監査役の職務を補佐する組織として監査役室を設置し、専任スタッフを配置しています。
取締役・監査役トレーニング
当社の重要な統治機関の一翼を担う取締役・監査役就任者に対し、その役割・責務に係る理解を深めるための機会として、役員法令セミナーを実施しています。また、中長期的な課題を取り上げ、定期的な役員への研修を実施し、必要に応じて外部セミナーへの参加や外部専門家を招聘しての勉強会を開催しています。
役員報酬
基本的な考え方
取締役の報酬は、当社の経営理念の実現を実践する優秀な人材を確保・維持し、企業価値および株主価値の持続的な向上に向けて期待される役割を十分に果たすことへの意欲を引き出すに対し相応しいものとしています。具体的には、業務執行を担う取締役の報酬は、月額報酬、賞与および株式報酬により構成し、監督機能を担う社外取締役の報酬は、月額報酬のみとしています。 また、取締役の報酬の内容について株主をはじめとするステークホルダーに対する説明責任を十分に果たすべく、報酬の内容および決定手続の両面において、合理性、客観性および透明性を備えるものとしています。
算定方法
報酬名 | 月額報酬 | 賞与 | 株式報酬 |
---|---|---|---|
比率 | 60% | 30% | 10% |
支給対象 | 取締役、監査役 | 取締役(社外取締役を除く) | 取締役(社外取締役を除く) |
算定方法 | 役位、職責等に応じて定めるものとし、優秀な人材の確保・維持をはかるために必要な市場競争力を備えるものとなるよう、業績、他社水準、社会情勢等を勘案して、適宜、見直しをはかるものとしています。 | 取締役会において各事業年度の連結営業利益、中期経営計画で定めた目標値の達成度合い等を勘案して支給する金額を算定したうえ、定時株主総会の決議によって定められた金額を、定められた時期に支給します。 | 株主との価値の共有をはかり、企業価値および株主価値の中長期的な向上に対する貢献意欲を引き出すため、業務執行を担う取締役に対し、事業年度ごとに、業務執行をすることの対価として、原則として当該取締役が退任した直後の時点までを譲渡制限期間とする譲渡制限付株式を割り当てることとし、割り当てられた株式と引換えにする払込みに充てるための金銭債権を、毎年、一定の時期に付与する。割り当てる株式の個数は、役位、職責、株価等を踏まえて決定します。 |
取締役の個人別の月額報酬は、過半数を独立社外取締役とする任意の報酬委員会での決議を条件に、取締役会から代表取締役に一任します。取締役の個人別の賞与は、株主総会における役員賞与総額の決議を受け、任意の報酬委員会での決議を条件に取締役会から代表取締役に一任します。
取締役の個人別の月額報酬と賞与の支払実績については、報酬委員会での決議内容と相違が無いことを確認するために、代表取締役が後日報酬委員会に報告しています。
取締役の株式報酬の個人別の割当数については、任意の報酬委員会の審議・ 答申を尊重して、取締役会の決議により定めます。なお、監査役報酬は、監査役の協議により決定しています。
役員報酬額
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額 (百万円) | 対象となる 役員の支給 人員(名) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
月額報酬 | 役員賞与 | 株式報酬 | 役員退職慰労金 | |||
取締役(社外取締役を除く) | 126 | 96 | 20 | 10 | ― | 6 |
監査役(社外監査役を除く) | 15 | 15 | ― | ― | ― | 1 |
社外取締役 | 22 | 22 | ― | ― | ― | 4 |
社外監査役 | 19 | 19 | ― | ― | ― | 4 |
※上記には、2022年6月22日開催の第108回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役3名、社外監査役1名を含んでいます。
取締役会の実効性評価
当社は、取締役および監査役に対し、取締役会が実効的にその役割・責務を果たしているか否かについてのアンケート等による調査・分析を毎年実施し、継続的な改善をはかっています。2022年度は、2022年10月~11月に自社による実効性評価を全取締役および全監査役に対しアンケートで実施しました。評価項目は、取締役会の構成や運営、議論、モニタリング機能等計31問になり、2022年12月にアンケート結果を基にした次年度の実効性改善案を取締役会へ報告しました。
2021年度の課題 | 2022年度の取り組み実績 | |
---|---|---|
取締役会の構成 |
|
取締役の社内外比率を見直し、「客観的な立場からの実効性の高い監督」を行える体制へ移行 |
取締役会の運営 |
|
「グローバル視点での会社の方向性や中長期戦略の協議」を行うための協議時間を設定 |
取締役会の議論 |
|
協議時間充実のため、取締役会上程議題の基準を変更 (オペレーション関連の議題は本部長会議で決裁) |
2022年度の全体評価結果
- アンケート全項目で概ね高得点を獲得。当社取締役会は実効的に機能していると判断。
- 2022年度から実施した取締役会の運営・議論に関する取り組みによって、重要な経営課題に関する議論が活発に行われるようになっている。
- 一方で新たな課題も認識されており、更なる実効性向上のための取り組みが必要。
2022年度に認識された課題 | 現在の取り組み | |
---|---|---|
取締役会の議論 |
議論内容の更なる拡充
|
2022年度から導入した協議時間の活用により、社外環境変化に追従するために解決すべき課題を取締役会で取り上げ、定期的な議論を実施 年度方針・各グループ会社方針の進捗・結果を定期的に取締役と共有し、グローバルでの課題と成長に向けた方向性について議論 |
取締役会の運営 | 上程内容に関する社外役員の検討・確認期間の充実 | 取締役会開催までの準備スケジュールを見直し、社外役員が上程内容を検討・確認する期間を充実 |